2024-10-25
明治の離れ・小濱にご宿泊されたお客様の感想その19
ご宿泊ありがとうございました!天橋立・丹後地域には、魚料理がメインの宿が星の数ほどあります。その中で、井筒屋のような小さな宿を見つけて下さり、本当にありがとうございます!
お泊り頂いた小濱は、明治時代に建てられた濱見家の離れになります。当時のちりめん街道は、欧米への絹織物の輸出が盛んで、今では考えられない位の繁栄ぶりだったと伝わっています。その繁栄を今に伝えるもののひとつがちりめん街道の街並みであり、小濱もその一つです。小濱の趣ある建物や、小濱のお客様だけが楽しめる中庭は、当時の丹後ちりめんの織元の粋な楽しみ方を現代に伝えています。
そして板長の魚料理は、夏は鱧、冬はぶり、という固定概念にとらわれることなく、その時水揚げされた魚の中で、状態が良いものを選び、なおかつ個体に応じた熟成をさせてお召し上がりいただく、という、「人間が認識している魚の旬ではなく、魚の本当の旬に合わせたお料理。」をお出ししています。これは、夏の魚が12月ごろまで水揚げがあったり、逆に夏に脂がのった冬の魚が上がることもあれば、産卵期がずれて近い種の魚同士で交雑してハーフが生まれたりと、海の中の水温や海流やの変化が目に見えるお料理をお出しすることにこだわっています。これは、多くの一般的な魚の旬が江戸時代に確立されたものであり、そこから数百年を得た現在、海の中も陸の上も、生き物を取り巻く環境は大きく変わりました。「魚の本当の旬」に合わせること、これは市場価値の高い「その時期に売れる魚」を出すのではなく、たとえ大衆受けはしなくても、海の中の多様な変化が見える「その時期に本当においしい魚料理を作りたい。」井筒屋の料理は、板長のそんな地魚への愛情がこもった料理です。喜んでいただけてとても嬉しいです。
また、季節の魚料理や、懐かし趣ある建物を楽しみたくなったら、井筒屋へお越しくださいね。またお会いできる日を楽しみにしています。ちりめん街道料理旅館井筒屋 女将鈴木和女