ご宿泊ありがとうございました!井筒屋のような小さな宿を見つけてくださり、ありがとうございます!
お泊り頂いた「明治の離れ・小濱」は、明治21年に建てられた建物に泊まることができるプランになります。丹後半島は昭和二年の丹後大震災で大きな被害を受けたため、多くの建物が被災し、倒壊しました。ですが小濱は丹後大震災の被災に耐え、第二次世界大戦の戦火も潜り抜けた貴重な建物です。井筒屋では板長も女将も小濱の建物に惚れ込み、10年以上前から「いつか宿にしてほしい」とお願いしていました(笑)昔の建物は、住む人もなくただ形を保存するだけでは、建物が傷んでやがて朽ちてしまいます。活用することで初めて次の世代に伝えることができます。もちろんすべての建物を活用することは難しいと思いますが、私たちが無理なくできる範囲で、一軒でも多くの建物を「価値ある建造物」として、次の世代に伝えることができればと思っています。昔からある建物の「古さ」や「不便」を、現在の建物では味わえないエンターテインメントとして楽しんで頂けて、とても嬉しいです(笑)
また、板長の魚料理を美味しくお召し上がりいただき、ありがとうございました!年々料理にかける手間と時間が増えていって、コロナの自粛以降ついに食材の一部自給自足まで始めました(笑)野菜くずや魚のあらや骨を烏骨鶏に食べさせて、その卵を調理に使い、その鶏糞を畑の肥料として活用しています。大きな規模ではありませんが、無農薬で栽培出来るものに限定して、少しずつ自給できる野菜を増やしています。2024年は正月用のレンコン、くわい、サラダ用の葉物野菜にトマト、ジューンベリー、天婦羅に煮ものに大活躍のかぼちゃ、オクラ、お風呂に入れるハーブ。今年はまだ実がつきませんでしたが、イチジクやラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、レモンなども植えています。また、荒れ地を活用して天婦羅用のタラの芽、桑の葉、ふきのとうなど、畑では育ちにくい山菜も収穫できます。こうして書いてみると結構作っていますね(笑)料理は食材の命を頂く行為そのものです。食材自体も健康な状態で育ったものを使うと、それをお召し上がり頂いたお客様も元気になれる、そう思っています。何よりこんなにやりたいことをやれるのは、田舎のマイナー観光地ならではの特長だと思います(笑)有名観光地の近くだったら、土地が高すぎてこんなに好き勝手出来ません(笑)自分たちが納得した食材を使える、料理人冥利に尽きる環境で仕事させて頂けることを、心より感謝しています。
最後になりましたが、息子さんのチームの優勝おめでとうございます!またこちらのほうにいらっしゃることがありましたら、ぜひお立ち寄りくださいね。季節のお料理をたっぷりご用意して、お待ちしています。ちりめん街道料理旅館井筒屋 女将鈴木和女